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 クジラ漁(2001.9.4) *写真をクリックすると拡大されます。

 9月4日の午後4時半頃、網走港に1頭のオスのツチクジラが陸揚げされました。
 日本には4ヵ所の捕鯨基地があり、網走の他に、宮城県鮎川、千葉県和田、和歌山県太地があります。その中で、網走でのクジラの捕獲枠は年間2頭までで、地元の三好捕鯨、下道水産にそれぞれ1頭ずつが割り当てられています。網走ではこの2日前に、下道水産により1頭陸揚げされているので、網走でのクジラ漁はこれで今年最後になりました。

第二十八大勝丸

大勝丸

 午後4時40分、一隻のキャッチャーボートがたくさんの漁業関係者、噂を聞きつけてやってきた市民の見守る中、網走港にえい航しました。

 網走市の三好捕鯨(三好英志社長)と宮城県牡鹿町の日本近海が協同で操業している第二十八大勝丸です。

三好社長
三好捕鯨社長 三好英志氏
クジラと大勝丸


 早朝4時ごろから追い続けていたクジラの群の中から1頭のオスのツチクジラを捕獲。体長はおよそ10m、体重は推定12トン。
 クジラは捕獲後、鮮度を保つために血抜きをした状態で運ばれてきます。

陸揚げ

 船からクジラを降ろし、ウインチで港に引き揚げます。12トンもの巨体を引き揚げるのには、やはり機械の力を使います。 昔は全て人力だったので、多くの人手が必要だったはすです。そのころは今よりもっと活気に満ちて、クジラ一頭で町がお祭り騒ぎだったことでしょう。
 現在でもクジラ漁は地元の秋の風物詩。毎年この光景を楽しみに待っている方もいるようです。

 

引き揚げ作業1 引き揚げ作業2
クジラの尾 クジラ  陸に引き揚げられたクジラはさらに大きく見えました。尾びれの後ろに立っている人と比べても、一目瞭然。目を見張るほどの大きさです。
 顔はよく見かけるイルカに似て、口が長くとがっています。下顎の先には2本の歯が見えています。
 ちなみにツチクジラの名前の由来は、槌の枝の部分に口が似ているのでツチクジラというそうです。 

 

解体作業

 初めて間近でみるクジラを、恐る恐るのぞき込む子供たち。

 その手触りはゴム長靴のようで、弾力があり不思議な感触でした。
 陸に揚げられるとまず体長などの測定を行います。その後、板の間でできた解体場へと運びます。

クジラと子供たち クジラの目


解体作業 切り分け中  解体作業が始まりました。作業員は長刀のような刃物で、手際よく解体していきます。 
 尾を切り落とした後、分厚い脂肪の層がまず切り取られ、さらに細かくカットします。 
 一見さび付いたような刃物でしたが、とても切れ味が良く、スピーディーに作業が進んでいきます。
 この後、クジラの肉や脂肪は、主に道内へ出荷されます。

船が来た!

くじら漁について考えること

 現在のくじら漁はIWC(国際捕鯨委員会)の規制外の小型沿岸捕鯨として、かろうじて漁が行われています。ツチクジラは本来捕鯨の対象ではありませんでしたが、ミンククジラが捕れなくなってから、細々と定められた枠内での操業を行っています。

 オホーツク海沿岸のクジラは小振りで、かつて食していたミンククジラよりも味も劣るため、当初ツチクジラは一般に定着しませんでした。そのため生計を立てるのには不十分な面もあります。
 
 各地クジラ漁の関係者は、ミンククジラ漁を再開することを目標としていますが、海外だけでなく、国内においても捕鯨反対の声はあります。捕獲の仕方等が残酷であるとか、知能が高い生き物なのでかわいそうであるといった事や、科学的に個体数を確保できるかどうか証明されていないといった意見があります。

 しかし、ミンククジラは現在南極海だけでも76万頭生息しており、この数値から、年間2000頭捕獲しても影響はないと言われています。このままクジラだけを保護することは、逆に生態系を破壊するのでは?という意見もあります。また、IWCでも小型沿岸捕鯨地域の困窮は認識されているものの、ミンククジラの捕鯨は未だ許可されません。

 捕鯨を生業としてきた地域にとっては、捕鯨という伝統が消えることは、経済的損失だけではなく、その地域の文化的慣習までも奪ってしまう大きな出来事です。細々と、それでもくじら漁を続けているのは、そんな理由もあるからなのです。

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